ティモラッソ

ここ数年よく聞くピエモンテの白ぶどうティモラッソ。栽培の歴史は大変古いのですが、いかんせん栽培に手間がかかるみたいで随分とほっとかれたみたいです。ピエモンテの白ぶどう、ちょっと考えただけでも国際品種から地ブドウまで色んなジャンルのブドウをたくさん思い出しますよね。すでにこの地域に適応した素晴らしいブドウが沢山あるのになんで今さら面倒くさいティモラッソなのか?そんなことを考えながらこのワインを飲んでみました。

両方同じ生産者、カンティーナ・ディ・トルトーナです。白ラベルは20年、黄色ラベルは11年。今回残念ながら同じランクのワインではなく古い方は新しい方と比べて少しベーシックなレベルです。同じVTだとおそらく価格は3割くらいお安いと思います。

新しい方はまず太いボディを感じました。シンプルな果実感が強く伝わってくる南方のワインと違って、細かな構成の色々な味わいが束になって来る感じ。果実感は熟したものとフレッシュなものが両方あって塩味もほんのり。余韻は長いです。そして酸。折り重なる果実香に負けない酸が必要十分に感じられます。

ティモラッソが最近になって取り上げられた理由の一つはこの酸だと思います。長期熟成に耐えられるワインの重要な素養の一つは酸。ピエモンテの白ワインで長期熟成を成功させているブドウはそんなに多くありません。というか、僕の思い込みですがシャルドネ一択と言っていいかも。多くの生産者はそこに一石を投じるためにアルネイスとかリースリングに心血を注いでいるのかなと。ティモラッソはその流れの中で見出されたピエモンテ白ぶどうの新星なのかも。

で、古い黄色いラベルの方。現行VTだとしたら上代3000円いかないくらいです。風味は熟した白によく感じられるハチミツ、熟れた様々な果実。少しフレッシュな部分も残っているのは素晴らしかったです。マイナス要素は全くありませんでした。現行と比較するとバランスが格段に良くなっています。落ち着いた果実感に溶けた酸味。喉を通ったあとに残る甘い香り。このへんは年を経ないと出てきませんよね。ちなみに古い方は偶然うちの冷蔵庫で出来上がっていた糠漬けのキュウリと一緒に。年を経たティモラッソはどんな食べ物にもあってしまうのでは?と思わされる取り合わせでした。ティモラッソ、しばらく注目です。

って、一気に飲んで酔っ払ってしまったおっさんの独り言でした。